看護師国家試験を解いてみた〜Part10 肺癌 呼吸不全 緩和ケア

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どうも〜たかのです。

今回は第109回看護師国家試験に出題された。肺癌で化学療法を受けていたが急に呼吸困難、胸痛が出現したという状況設定問題を解いていきます。

臨床現場にいると呼吸困難を主訴で入院となるかたは多いです。誤嚥性肺炎もありますし、間質性肺炎や慢性閉塞性障害などもあります。

特に高齢者は呼吸器疾患にかかりやすいのでしっかり押さえていきましょう。

では解いていきます。

問題

Aさん(60歳、男性、元建設業)は妻(57歳)と二人暮らし。2年前に悪性胸膜中皮腫と診断され、化学療法を受けたが効果が見られず、外来通院していた。2週間前から、胸痛、息苦しさ、倦怠感が増悪したため、症状コントロール目的で入院した。

バイタルサイン:体温36.0度、呼吸数24回/分、脈拍92/分、血圧126/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SPO2)86~90%(room air)。

身体所見:両側下肺野で呼吸音が減弱しており、軽度の副雑音が聴取される。

血液所見:赤血球:370万/μL、Hb8.8g/dL、白血球6700/μL、総蛋白5.2g/dⅬ、アルブミン3.8g/dL、CRP1.5㎎/dl

動脈血液ガス分析(room air):pH7.31、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)40Torr、動脈血酸素分圧(PaO2)63Torr

胸部エックス線写真:胸膜肥厚と肋骨横隔膜角の鈍化が認められる。肺虚脱なし

問1 Aさんの呼吸困難の原因で考えられるのはどれか

2つ選べ

1.胸水

2.気胸

3.貧血

4.CO2ナルコーシス

5.呼吸性アルカローシス

問1 解説

1の胸水については可能性としてはあると思います。その情報は両下肺野で呼吸音が減弱しているという情報です。しかし、両下肺野の呼吸音はもともと聴取しにくいです。(正常であれば吸気は聞こえますが、呼気はあまり聞こえません。)そして、胸水が貯留する原因として低栄養や炎症による低アルブミン血症、心不全、腎不全によるものが多いのですが血液データ上では明らかな低栄養や炎症が高値ではない(やや基準値よりも高いので、慢性炎症の可能性があります。)ので可能性としては低いと思います。

2の気胸は可能性としては低いと思います。理由はレントゲン所見に「肺虚脱なし。」と書かれているからです。気胸は肺の中にある空気が胸腔内に溜まる病態なのでレントゲンの所見が違います。

3の貧血は可能性はあります。理由は血液データのHb8.8という数値ですね。通常成人男性であれば14g/dL程度が正常なのでそれに比べたら低いですね。(臨床では併せて眼瞼結膜や顔色も確認できればいいと思います。)

4のCO2ナルコーシスですが、慢性的な呼吸不全状態の患者はもともと体内にある酸素は少ないです。そんな患者に対して酸素投与を行うと身体が酸素の量は適切だ!!と身体がと判断して呼吸を止まってしまうという病態です。このことから慢性呼吸不全の患者の特徴は体内の酸素量が少ない、二酸化炭素の量は普通よりも多い傾向になるということです。このことから現在の動脈血ガス分析のデータはAさんにとっては正常な可能性があります。

5の呼吸性アルカローシスは簡単にいえば過換気発作のような病態ですね。Aさんは呼吸数だけで考えれば可能性はありますが、動脈血液ガス分析でpH7.31とアシドーシスに傾いているので可能性は低いですね。

このことから、問1の答えは1と3ですね。

問2 Aさんの呼吸困難を緩和するための体位で適切なのはどれか

入院後、症状緩和のためモルヒネの内服と経鼻カニューレによる酸素療法2L/分が開始された。経皮的動脈血酸素飽和度(SPO2)は95%前後で維持されるようになったが、Aさんは夜間の息苦しさを訴えている。

Aさんの呼吸困難を緩和するための体位で適切なのはどれか

1.半腹臥位

2.右腹臥位

3.左腹臥位

4.セミファウラー位

問2 解説

夜寝ているきに息苦しさを訴えるということなので、原因は就寝時の臥位姿勢だと考えます。臥位姿勢になると横隔膜や肋間筋などの呼吸筋が広がりにくくなります。

1の半腹臥位というのは俗にいう回復体位のことだと思います。呼吸理学療法として腹臥位なら換気不全の改善には有効です。しかしAさんの呼吸困難が胸水によるものであれば重力で肺が虚脱するので不適切な可能性があります。

2の右側臥位と左側臥位も1の解説と同じです。

4のセミファウラー位は頭部を挙上することで重力で横隔膜が下がります。それによって肺を広げやすくなるという特徴があります。また胸水があるなら頭部挙上することで重力で身体の足側に落ちていくので呼吸も楽になります。

このことから答えは4ですね。

問3 Aさんの妻への看護師の説明で適切なのはどれか

入院2週、Aさんの身体状態は急激に悪化し、Aさんは「息が吸えない。苦しい。なんとかしてくれ」と訴え、眉間にしわを寄せて口呼吸している。軽度の喘鳴が見られ、経皮的動脈血酸素飽和度(SPO2)は88~92%(経鼻カニューレによる酸素療法2L/分)である。また、頻繁に体位を変えて落ち着きがなく、つじつまの合わない訴えと場所の見当識障害も見られる。毎日面会に来ている妻は「どうなってしまったのでしょうか。苦しそうでかわいそう」と涙ぐみ、ベッドから離れたところで座っている。

さんの妻への看護師の説明で適切なのはどれか

1.「Aさんが場所を間違っても否定しないでください」

2.「口腔内吸引をするとAさんの呼吸が楽になります」

3.「タッチングをするとAさんの安心感につながります」

4.「Aさんの症状が落ちつくまで自宅で待機してください」

問3 解説

Aさんから「息が吸えない。苦しい。なんとかしてくれ。」という訴えが聞かれています。さらに喘鳴、SPO2低下、見当識障害が出現しています。このことから考えられるのは呼吸困難によるパニックです。パニック状態になるとうまく呼吸ができず、さらにガス交換障害がでてきます。なのでまずはAさんを精神的に安心させることが必要になります。さらに妻も本人の様子を見て涙ぐんでいるのでまだ状況を受け入れることができていない可能性があることを踏まえて解いていきます。

1の場所を間違っても否定しないということは本人の訴えを傾聴するということなのであればあながち間違いではないと思います。しかし、今これを説明しないといけないのか?という疑問が湧きます。

2の口腔内吸引をするとAさんの呼吸が楽になりますというのはあくまで分泌物が咽頭に溜まっていたらです。それ以外の場合はより呼吸困難を助長する可能性があるので不適切です。

3のタッチングをするとAさんの安心感につながるということは妻の声掛けやタッチングを促すことはタクティールケアですよね。タクティールケアは安心感を与える効果があると言われています。

4のAさんの症状が落ち着くまで自宅で待機してください。というのは家族の個別性によります。Aさんの状況を見てショックが強く、声掛けもできないぐらいなのであれば休んでもらうことは必要です。しかし症状が落ち着くまで自宅待機していたら急変して家族として会話もできなくなる可能性があります。

これらのことから解答はです

解答

問1 1、3

問2 4

問3 3

まとめ

今回は呼吸不全患者の対応についてでしたがどうだったでしょうか?

私は病態をきちんと把握できていないと解くことが難しいと思いました。しかし問1の胸水についてもレントゲン見ているなら胸水貯留しているか分かるじゃないかとか、家族の対応は個別性によるものが強いし一概には言えないと感じたりです。

臨床現場では似たようなかたが多くいます。この場合、どう行動するかは看護師としての看護観にもよると思います。いろいろな経験を積んでもらいたいと思います。スピリチュアルペインについて書籍も紹介しているので見てみて下さい。オススメ書籍

このブログでは臨床現場に働く看護師の考え方をさまざまな職種のかたに知ってもらうために看護師国家試験を解いていきます。参考にしてもらえたらうれしいです。

今回もありがとうございました!!

たかの@認定看護師ブロガー

名前 たかの
年齢 35歳
職業 看護師
専門 脳神経外科 神経内科
資格 
摂食嚥下障害看護認定看護師
特定看護師在宅ケアモデル修了
認定看護管理者研修ファースト修了

28歳で転職して認定看護師へ
認定看護師を目指すコツや方法、キャリアアップ、看護学生に向けた国家試験の考えかた解き方のポイントなどをアップしていきます。もし聞きたいことなどあれば問い合わせからご連絡をお願いします!

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